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イリオモテのターザン






コンテンツ

第一章 出会い
  出発
  イリオモテへ
  フナウキ村
  アミトリ湾
第二章 シマ暮らし
  ウダラ浜
  ヤラヴ樹下
  朝と昼
  夕と夜
第三章 天然人
  不争の血
  青春の血
  深い闇
  光の中
第四章 別れ
  さらばウダラ
  再び街で
  蘇れ
  悠久に


著者

水田 耕平(みずた こうへい)
1941年、兵庫県明石市生まれ。
1964年から2001年、神戸市中学校美術科教諭。
現在、退職して少々の畑を耕し、近くの海で釣りをし、水墨画を描いて暮らしている。
夏になると西表島に行きたくなり、1、2カ月キャンプ生活を楽しむ。

著者コメント
人が変わる要因の多くは、人との出会いに依ることを、私は西表島のケイユウジィと出逢ったことで、確信しました。懐かしい昔の日本人の匂いと沖縄独特のおおらかで開放的な雰囲気を持つ老人に、太古から続く自然の浜辺でいろいろな話を聞き一緒に過ごす中で、人間の根源的な生き方を教わり、私の生きる目的がはっきりと定まってきたのです。



書評 八重山毎日新聞

 1980年後半から97年にかけて西表島網取湾のウダラ浜で、たった一人で住んでいた老人がいた。イリオモテのターザンと呼ばれた砂川恵勇さん(故人)である。
水田耕平さん(68)=兵庫県明石市=は、90年と93年に恵勇さんと過ごした経験をつづった「イリオモテのターザン」を、このほど出版した。
90年当時、中学の美術教師だった水田さんは、修士号取得を目指し2年間の国内留学、現場を離れ大学院に通っていた。修士論文の課題は富岡鉄斎論だったが、儒教、仏教道教、禅と研究対象は広がり、「無為」という難解な言葉に出合う。「毎日の生活のなかで、どうしたら、そんな心境になれるのか」。理解ができず行き詰って悩んでいたころ、「テレビで見た『イリオモテのターザン』を思い出し、ジャングルのなかに自分の身を置いてみようと思った」。衝動にうながされるまま西表島行きを決めた。テント袋、最低限の身の回りの物を詰めたリュック、カメラやラジオも持参しなかった。
川がありテントが張れる場所であればよく、ターザン本人に会うことは目的ではなかった。しかし縁があって2人は運命的に出合う。水田さんは、恵勇さんの住まい処で5日間を過ごす。驚きと発見の連続だった日々を、水田さんは兵庫に戻った後、記憶をたどりながら早々に文章に起こし、クロッキーを描き、まとめたものを大学の友人らに見せると反響は大きく、編集経験がある者から本にすることを勧められ、自費出版で1000部発行した。
恵勇さん亡き後も水田さんは、毎年のように西表島を訪れキャンプ生活を送っているが、この間、恵勇さんの思い出を文章に書き起こし、「抽象的過ぎて紹介し切れなかった」自費出版の反省もあり4年前、東京の出版社から新たに本を出す予定だったが、運悪く出版社が倒産。2年後、教師仲間の紹介があり、南山舎から発行することができた。
 水田さんにとって「恵勇オジィ」の存在は特別だった。「若いころ自信を失い、自信を持って生きるにはどうすればいいのか、人間の幸せとは? 理想の暮らしとは何なのかと悩んだことがあった」というが、恵勇さんとの出会い・交流は、多くのヒントを与えてくれたようだ。
「恵勇爺(ジィ)は自然と同化し感謝しながら生きていた。魚を捕り、畑を耕し、物々交換が成り立っていた。お金が一切表に出ない暮らしで、複雑なものは何一つ、そのくらしのなかにはなかった。当たり前のことを毎日、ごく当たり前に感謝のうちに続けていく。そのことの有り難さを恵勇爺は確認させてくれた。幸せになれる方法は、そういうことなんだと気づかされた」。水田さんは穏やかな口調で話していた。
2009年7月30日付『八重山毎日新聞』
「週刊オーライ」より



書評 沖縄タイムス 〜文明社会に染まる心刺激〜

 昔、イリオモテを縦断したことがある。ガイドブックに「健脚な方なら8時間でオッケー」と書かれていたのを覚えている。単純な私たちは米と一食分のレトルトと少量の水くらいしかもって行かなかった。初日は皆でカレーを食べた。笑顔が絶えなかった。
  だが、ガイドブックはうそだった。結局、山を出るのに三日かかった。炊いた米に塩をふって食し、川の水でのどをうるおし、周りの自然など目に入らずうつむいて歩き続けた。壊れかけのラジオから台風接近との情報が流れた時にはガイドブックをのろった。「健脚な方って誰を基準にしたんだ! SWAT(特別機動隊)や海兵隊か?」もはや笑顔などない。山を出てアスファルトを見たときには「文明社会っていいなあ」としみじみしたものだ。
 そんなイリオモテに一人でジャングル生活を営むじいさんが存在するという。作者の水田さんは神戸の美術教師だ。都会生活に疲れて島にやってきた。ひょんなことから「ターザン」と呼ばれるじいさんと暮らすことになる。
 ターザンはヤラブの樹の下に住んでいる。果物を栽培し、住民と物々交換したり、漁に出たりして暮らしている。ターザンは水田さん持参のコンビーフばかりはしをつける。肉に飢えているのだ。山では自分でイノシシを捕獲しない限り肉は手に入らない。作者は自分がいかに文明社会に染まっているか痛感する。しかし、ターザンは説教臭いことを言わない。ただ、酒を飲み、とりとめのないことをしゃべるだけ。シークァーサーをぴちぴちの刺し身にかけて食べ、泡盛を口に運ぶ。段々うらやましくなってきた。昔の島人はみんなこうだったのか。それとも文明社会に染まった私が勝手に描いている幻想か。
 読んでいて良いと思ったのは、イリオモテを「この世の楽園」にしなかったこと。ジャングルで暮らすのは生半可じゃ出来ないんだよ、と作者は暗に言っている。私も久しぶりにイリオモテに行きたくなった。もう、縦断はしたくないけれど。
2009年9月5日付『沖縄タイムス』
赤星十四三・小説家



書評 琉球新報 〜独り、孤高に生きるとは〜

 新しい世紀を間近にし、私が西表島に暮らし始めた頃、「イリオモテのターザン」こと恵勇爺は、既に伝説の人であった。
夜の海をひとり素潜りで魚を突く男、密林に分け入りイノシシを狩る男、亜熱帯の過酷な自然をものともせずに生きる、野性味あふれる彼らが、心酔し、感服し、一目を置いている恵勇爺。そう、島の屈強な男たちの魂をわしづかみにしていた。
密林に閉ざされた無人の浜で、独り、悠々と生きる老人。聞くと泡盛を愛する、相当の飲んべえだという。が、わずらわしい人間関係を拒絶した、ただの酔っぱらいとは違う。まさに身ひとつで生きるサバイバル術に長けているのだ。ターザンの尋常ならざる自給自足的暮らしと西表の自然を、著者は繊細なまなざしで一幅の書画のごとく丹念に描きあげる。
都会生活に疲れはて、南の島を目指した定年間近の美術教師(著者)は、ターザンと出会い、まず、節くれだち、傷だらけで巨大な道具と化した異様な手に度肝を抜かれる。早々、浜で独り暮らすことの過酷さを思い知らされ、息をのむ。そして、ハサミさえ持たぬ老人のあまりに原始的な暮らしに気付き、衝撃を受ける。
 浜には、電気もガスも水道もない。川から水を汲み、薪を集め、火をおこす。物に頼らず「すべてが手に依る」暮らしをおくるだけだ。浜で、独り生きるには、ハサミをも捨てる潔い覚悟を必要とする。
「ここでの生活では、すべてが自分の手が主体なんだと気がついたのです。(中略)手を使って、使って、使った結果が、この手をつくり上げてきたんだと分かったのです」
 華奢な身体に不釣り合いな手の平に「人間の無限の可能性」を著者は鋭く見出していく。そこに著者の優れた洞察力を感じる。武骨な手は、恵勇爺そのものをあらわしている。同時に、本来の人間らしい感謝と喜びのある生き方が滲み出ているのだ。
 不便を不便とは微塵も意識しない老人。手を酷使した無心な暮らしに現代人が失った崇高な精神を垣間見る。都会的な物欲を捨てた孤高な生き様に、私のようなヤワな女の魂も、わしづかみにされた。
2009年11月22日付『琉球新報』
安本千夏・染織業

イリオモテのターザン

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2,052円 (税込)

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本について
著者・挿絵:水田耕平
仕様:B6判 417頁
発行:南山舎

送料について
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手数料について
代引きでの場合は390円が、コンビニ払の場合は324円が加算されます。予めご了承ください。

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