第30回沖縄タイムス出版文化賞特別賞受賞
祖先から大切に受け継がれてきた「ミンサー織」。そのルーツから、特徴、発展、継承、技術に至るまで網羅し、図録も豊富な決定版。

沖縄タイムス 書評 〜織り手の人生 織り交ぜ報告〜
沖縄は「染織の宝庫」と称され、特に織物は素材・技法とも多種多様で今なお各地において特色あるものが製作されている。
これらの織物の意匠展開や技法に比べ、ミンサーは単純な織物としてとらえ、ある程度わかっていたつもりでいたが、この本によって考え方を新たにさせられた。
本書は4章で構成され、15人の執筆者がそれぞれの視点から、ミンサーについてさまざまなアプローチをしている。第1章はミンサーの特徴と種類および中央アジア諸国の細帯文化、第2章では木綿を中心とした社会史、絣文様や技術面からみたミンサーの推移、芸能に見るミンサー、石垣・竹富・与那国島のミンサー織物についてそれぞれまとめている。
第3章は県の伝統的織物の産業化への取り組みやミンサーの変遷、八重山における観光開発や生産現場などについて分析し、沖縄織物全般の将来に向けてのキーワードとして「手作り、自然素材にこだわること」を挙げている。
第4章は石垣、竹富、与那国の各組合、みんさー工芸館の技法と工程および植物染料等が詳しく解説され実践書として参考になる。
全体的に、図版や統計資料を効果的に配置したわかりやすい構成で、確かな史料の裏付けや関連資料を入念に調査考察した本文は、専門的な参考書として優れている。
八重山の祭りや地域文化を織り交ぜながら報告される数々の織り手の人生模様は、民族文化史としても興味深い。八重山の伝統の素晴らしさを自覚しつつ、指導者の教えを胸に自然体で織物に取り組む姿勢に共感をおぼえる。そのほか、随所に挿入されている10人の執筆者によるコラム「ミンサーと私」は、専門的な内容の本文とは趣の異なる印象深いエッセーが綴られ、一息つかせてくれる。
世界的な経済不況と沖縄染織ブームに陰りが見られる厳しい状況下で、社の40周年事業の一環として本書を世に送り出したあざみ屋関係者と執筆者に心より敬意を表したい。
2009.06.13 ルバース・ミヤヒラ吟子・県立芸術大学教授
琉球新報 書評 〜「いつの世までも」愛されて〜
「いつの世までも」のロマンチックな解釈で知られる文様は、5つと4つの方形を組み合わせた絣から生まれた。かつて竹富島を中心に織られたミンサー帯。紺碧の糸と白雲色の2色だけで織り成すその潔さが、ことさらにウムイ(思い)のきずなの強さをかもし出す。オン(御嶽)が溢れる祈りの島から生まれたミンサー柄。今や沖縄をイメージする究極のデザインとして定着した。
本書は、あざみ屋・みんさー工芸館創立40周年記念事業として刊行された。小さな島で生まれた織物が、沖縄の伝統工芸産業の象徴的な存在にまで発展した歴史が盛り込まれている。
第1章「ミンサーとは」では、ミンサーと呼ばれる細帯が「伊波メンサー」や「読谷山ミンサー」「首里ミンサー」など、本島や奄美諸島にも存在し、細帯文化圏は東南アジアやチベットさらにアラブまで広がることが記される。そして、その多くが「紋織りミンサー」であり「絣織ミンサー」は八重山地域の特徴であることが理解できる。
第2章「八重山ミンサーの歴史と民俗」では、木綿や織物に関する記録や社会史、さらに実作者らによる八重山各地のミンサーの技法検証が記される。竹富島で織物にかかわってきた内盛スミさんからの聞き書きには、祈りと共に生きる生活者の視点が溢れている。また、ミンサーを伝統工芸産業にまで発展させた新絹枝さんの聞き書きからは、その信念と実践力、さらにそれを支えた家族の深い愛情が伝わる。少女時代を台湾で過ごし、グローバルな視点で古里のミンサーと向き合ってきた、絹枝さんの姿勢はジェンダーを超えた魅力でいっぱいだ。
第3章「ミンサーの現在と未来」では、地場産業や観光の視点からミンサーの可能性を検証する。第4章「技法とデザイン」は、八重山の各織物組合や工房など生産の現場を紹介する。織物作家や研究者、生産者などによる本文とコラムで構成されており、多彩な執筆陣の視点がミンサーの魅力をさらに深めている。ミンサーが「いつの世までも」愛されることへの思いを託して。
2009.06.14 宮里正子・大学非常勤講師
本について
編集・発行:「あざみ屋・ミンサー記念事業」委員会仕様:B5判 361頁
送料・手数料について
■銀行振込・郵便振込・クレジットカード払の場合(クロネコヤマト)1冊のみご注文の場合、送料は全国一律200円になります。
■代引きの場合(郵便)
1冊のみご注文の場合、送料は全国一律340円+ 別途代引手数料370円が掛かります。








